高額になりがちな夕食代よりも、ご馳走してあげるには敷居が低い昼食代。
経費としても、比較的認められやすい、
といったイメージがあるかもしれません。
・会議に伴って
・得意先との親睦のために
・社員の福利厚生として
さまざまな形で支出するものでありますが、
税務上の考え方はそれほど柔軟ではありません。
特に、身内へのおごりには結構厳しいです。
そんな、昼食代の経費認定、整理してみました。
概要としては、以下のとおりとなります。
①取引先 | OK(交際費、会議費) |
②従業員 | OK |
③社長本人 | ①の範囲ならOK |
※プライベートな支出でないことが大前提!!
「取引先」は一番かんたん
得意先のお客さんや、仕入先、外注先などは、
「事業のため」との説明がつきやすく、比較的認められやすいです。
打ち合わせとしての食事であれば会議費、
接待などであれば交際費です。
昼食代で交際費なんてありえるの?!と思われがちかもしれませんが、
1人あたり3,000円を超えたら…交際費っぽくなりますね。
ただ、個人事業主の場合は、勘定科目はどちらでもいいです。
法人の場合は、交際費に制限がありますので、科目区分が問題になりますが、
中小法人であれば1事業年度あたり800万円までは経費になりますので、
それほど気にしなくていいケースがほとんどかと思います。
「従業員」はやっかい
つづいて、従業員のお昼代。
ここは「経費になるか」と言われれば、それはOK。
ただ、福利厚生費ではなくて、お給料扱いになるのが原則です。
「本人にお金を払う代わりに、昼飯をおごる、という形で払っただけだよね?」
と見られちゃいます。
そうなってしまうと、
・受け取る従業員の所得税や社会保険料が上がってしまう
・税務調査で指摘されると、雇う側の源泉徴収漏れとなってしまう
という、非常に面倒な話になります。
したがって、
そんな中で、例外として、給与扱いとはならないパターンとしては、
以下のようなものがあります。
・会議費、交際費
→①と同じ話で、打ち合わせや接待に従業員が参加していたのであれば経費になります。
(社内の方のみの参加でも、合理的なものであれば大丈夫です。ただ、目立たない程度にしましょう。。笑)
・忘年会や慰安旅行など
→上記のような一般的な福利厚生イベントで、従業員に一律に提供される昼食はOKです。
・全おごりではなく、一部おごりとした場合
→従業員が50%以上負担していて、雇う側の負担が月3,500円(税抜)まで等の要件を満たせば、給与ではなく福利厚生費にできます。
・出張時の日当として支払う場合
→出張旅費規程を整備する等して、外出や出張時の日当として支払う場合には、給与ではなく旅費交通費にできます。
このように、従業員の方に昼食をおごる場合は、要注意です。
税務調査が入って給与扱いとなってしまうと非常に厄介ですので、特に守備を固めておきましょう。
最難関!「社長本人」
ご想像に難くないと思いますが、
社長本人は、税務当局が特に疑惑の眼差しを向けてくるので、
非常に難しいです。。
そもそも食事代=ポケットマネーから出すもの、という前提があるので、
決裁権限を持つ社長本人は、原則ダメ、という理解から出発すべきでしょう。
ただし、①の交際費・会議費については、社長もOKです。
また、法人であれば、社長も役員として雇われる側ではありますので、
②の従業員の例外とされるものは、要件をみたせば同様に経費となります。
個人事業主の場合は、「仕事の都合上致し方なかった」と
明確に言えるものでないと厳しいでしょうね。。
個人よりも会社の方が経費化しやすい、と言われますが、この辺りにも表れてきますね。
そもそも「経費」とは
最後に、そもそも論ですが、以下は確実に押さえる必要があります。
- 事業に直接関連する支出であること
- 自らが支出したものであること
- 領収書等があること
1.はプライベートじゃないよ、ということですね。
”直接”関連する、がポイントで、風が吹けば桶屋が儲かる的な、間接的な関係ではダメです。
「たまに贅沢することがモチベーションになって売上げアップに繋がるんだ!」
みたいな理屈では厳しいでしょう。
2.と3.は、自腹を切っていて、その証拠があること。
いずれも昼食代に限らず、税務上の経費として認められるための最重要ポイントです。