節税ノウハウ

役員社宅は実際どれだけ得をするのか

今日は社長さんの節税対策の王道の一つ、役員社宅制度について解説します。

この制度を使うことのメリットは、以下の2つ。

①家賃負担の50〜80%程度を、個人の家計→会社に移せる
②個人と会社のトータルのキャッシュ流出が減らせる

どういうことかというと、
①は、賃貸物件を会社名義で契約することで、
家賃の負担を会社につけることができる、ということです。
ただ、全額を会社負担にすると、税法上の非課税枠を超えてしまうので、
50〜80%程度に設定されるのが通常です。

そして②は、会社負担=経費とすることで、
その分の税金が減らすことができます。
また、家賃の個人負担が軽くなった分だけ、
役員報酬を減額すると、社会保険料の負担を減らせる、という効果も生まれます。

と、文字で説明しても、分かりづらいですので、
実際にどれだけのインパクトがあるのか、検討してみました。

↑役員社宅っぽい写真を探したら、これくらいしかありませんでした…(大坂城)

①単純に家賃を会社に移すケース

以下の前提のもと、どれだけの金額影響が出るか考えてみます。
・家賃はχ円
・家賃の法人負担は80%(非課税限度内)
・実効税率は30%

家賃は、2:8で分担、法人税等は、会社負担の家賃が経費となるため、こんな感じ。

χ×80%×30%=χ×24%だけ、税金が安くなります。

したがって、
個人家計は前後で比べ、χ×80%だけ負担が減り、
会社は、χ×56%だけ負担が増えることとなります。
これを全体で見ると、
χ×80%−χ×56%=χ×24%だけ、得をしている、ということになります。

たかだか24%、と思われるかもしれませんが、
例えば家賃が月額10万円だとすると、
年ベースで10万円×12×24%=28.8万円が浮く計算になります。

なおこれは、80%を会社負担にできた場合です。
仮に50%とすると、χ×50%×30%=χ×15%が得をする額です。

つまり、家賃の15〜24%が得しますよ、ということになります。

②会社の家賃負担増を役員報酬で調整するケース

次に、会社の家賃負担が増える分、役員報酬を減らすケースをみます。
先のケースだと、会社のキャッシュアウトが大きくなるので、
負担を満遍なくする、といった時の話です。

・家賃はχ円
・家賃の法人負担は80%(非課税限度内)
・実効税率は30%
・役員報酬に対する社会保険料の割合は30%(15%ずつ会社と折半)


これを前後で比較すると、このような結果になりました。
役員報酬の調整が入ることによって、社会保険料にも影響が及び、
家賃の12%だけ減額されます。
これにより、税金面では、社会保険料の会社負担分だけ経費が減るため、
法人税等は負担増となります。

個人の家計ではχ×12%だけ負担が減り、
会社ではχ×12%−χ×3.6%=χ×8.4%の負担減となります。
そして全体では、χ×20.4%だけ得をする計算です。

なお、家賃の会社負担が50%とすると、
個人はχ×7.5%、会社はχ×5.25%、全体ではχ×12.75%の負担減です。

まとめると、家賃の13〜20%得をします、と言えますね。
(※四捨五入しました。)

諸手続きについて

最後に、制度導入に当たっての諸手続きについて簡単に記載します。

・制度適用の可否の検討
・非課税限度額の算定
・契約関係、規程等書類の整備

といったところが必要となってきます。

まず、状況的に役員社宅制度が導入できるのかを検討する必要があります。
例えば、社宅が税法上の「豪華住宅」に該当する場合は、
税務上のメリットはほとんど得られません。

また、非課税限度額の算定に当たっては、固定資産課税台帳の入手が必要となってきます。
これが無いと、正確な限度額が計算できず、
メリットを十分に享受できない可能性が出てきます。

その他、賃貸契約をすでに個人で結んでいる場合、
名義を会社に代えてもらわなければなりませんし、
社内のルールとして役員社宅制度を導入する必要がありますので、規程の整備も必要です。

というようなハードルはあるものの、
その労力に見合うだけの節税効果を生む仕組みではありますので、
もしまだ導入していない、という方は、ぜひ一度ご検討ください!

ABOUT ME
飯塚 千隼
仙台の公認会計士・税理士。 スモールビジネスの社長やフリーランスの不安や悩みを解消する近道として、事業の数字を「見える化」する仕組みづくりをサポートしています。 顧問税理士のいない個人事業主の方向けにスポット相談もお受けしています。 詳細なプロフィールはこちら