法人に対する税率の改正は毎年のように行われており、非常にめまぐるしいです。
直近でも、2018年4月1日以後に開始する事業年度から、
法人税率が23.4%→23.2%に引き下げられることとなっております。
さて今日は、そんな会社の税率に関する話題です。
会社の税目には、法人税、地方法人税、事業税、住民税などと各種あって、
それらを合算する形で、
法定実効税率(以下、実効税率)と表面税率、という2つの料率がありますが、
この違いについて、皆さんは理解ができておりますでしょうか。
↑いつぞや食した、千疋屋日本橋総本店のマンゴーパフェ。
2,000円くらいしたでしょうか。
違いが分かったか?…ノーコメントでお願いします笑。
一言で言えばこの違い!
いずれも、会社の利益をベースに課税がなされる税金についての料率を表します。
これは共通。
では、どう違うのかといえば、
表面税率:会社の税金コストの当期納付額
実効税率:会社の税金コストの実質負担額
前者が当期だけにスポットを当てているのに対し、
後者は将来を含めている、という違いがあります。
事業税は翌期までに経費になる
理論上、表面税率>実効税率となり、
当期納付額よりも、実質負担額が下がります。
なぜでしょうか?
キーは事業税の取扱いです。
いずれの税率も、
・法人税
・地方法人税
・住民税
・事業税
から構成されておりますが、
・事業税以外=経費にならない
・事業税=経費に入れられる
という違いがあります。
事業税については、事業を継続していくための必要経費、というような趣旨です。
タイミング的には、
決算後の確定申告にて納付した分は翌期、
中間納付分は当期のうちに会社の経費に入れることができます。
経費に入れられるということは、
納付して終わり、ではなく、納付したらその分だけ税金が安くなる、
ということを意味します。
したがって、理論上、表面税率>実効税率となり、
当期納付額よりも、実質負担額が下がる、ということになります。
こういった違いがありますので、
例えば、
節税策を講じた際の税金コストの計算に当たっては実効税率を使うべきですし、
当期の資金繰りを検討する上で納付額を算定するためには表面税率を使うべき、
といったように使い分けが必要になってきます。
他に留意すべき税金コストは?
ただ、いずれにしても、「利益」をベースとした税目のみを取り扱っていますので、
状況によっては他の税金コストを別途検討する必要が出てきます。
・住民税均等割
いわゆる「場代」としての税金で、
資本金額と従業員数で決まってきます。
資本金1億円超、あるいは従業員数50人超、支店や事業所数が多い、
といった場合には多額になってきますので、
トータルの税コストの算定に当たっては考慮すべきです。
・消費税
お客さんから預かった消費税を納付しているだけで、会社の負担は無い、
というのが税法上の建前ですが、
実際には、利益が出ていなくても納付額が多額になったりして、
考慮すべきシーンは多いですね。
・事業税 付加価値割、資本割
いわゆる外形標準課税法人(資本金1億円超)の場合、
その負担能力により、プラスでかかってくる事業税です。
こちらも利益が出ていなくとも発生しますので、気をつけなければなりません。
・繰越欠損金
過去の累積損失のうち、将来の利益と相殺して、
法人税等の税金コストを減額できるものです。
こちらは税金コストそのものではありませんが、
この金額の多寡で将来の税額負担が大きく変わってくる可能性が出てきますので、
必ず把握しておくべきものです。