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中小企業の実効税率は「だいたい30%」で本当にいいのか?

前回に続いて、実効税率の話を。

「中小企業の実効税率は何%で見ておけばいいですかね?」というご質問。
「色々ありますが、30%見ておけばまぁ安心ですかね…」とお答えしておりましたが、
その「色々」について、これまでつぶさに検討していなかったな、と思い、
掘り下げてみました!

中小企業の実効税率は非常に複雑

まず、現行の実効税率をまとめると、以下の通り。
税率は宮城県仙台市の一般企業のものです。

見方としては、
①資本金による分類
②利益による分類
があることを理解していただき、
該当の会社がどのレンジに当てはまるかを見ていただく形となります。

例えば、資本金1,000万円未満で、税引前純利益が6,000万円の会社であれば、
右上の資本金が「〜1,000」、
左下の税引前純利益が「4,000〜」のレンジを見ていただき、
・利益が400万円までの分
・利益が400万円から800万円までの分
・利益が800万円を超える分
でそれぞれ異なる税率を適用することになります。

利益800万円を超えるかどうかで税率が大きく異なることは
パッとお判りいただけるかと思います。
しかし、結局のところ、よく分からない、という印象になるかもしれません。
(上記の表でも少し簡略化しています。厳密にはもっと細かく分かれます。)

利益の上昇で税金負担率はどう変わる?

上記の表にて、利益が上がっていくほど、税負担も上がっていく、
というイメージは抱いていただけるかと思います。
そこで、資本金1,000万円未満の会社を例に、
税引前純利益の上昇に応じて、税金負担率がどのように変動するかをグラフにしました。

「法人税等」=税引前純利益×実効税率(上記表による)
「税金負担率」=法人税等÷税引前純利益
を指します。
この税金負担率を、実効税率のようなイメージで見ていただければいいです。

やばい、30%全然行きませんね…笑!!

税前利益800万円までは22%程度で横ばい、
800万円を境に上昇していくものの、
30%に到達するのは税前利益が4,000万円の時でした。

ただ、一方で、この計算に含まれていない税目として、
法人住民税の均等割、というものがあります。
いわゆる「場代」で、利益が出ていなくとも、
一定額を納税する必要があります。

最低額で70,000円ではありますが、
利益がそれほど出ていない場合、
税負担に占める均等割の割合が大きいはず。

したがって、均等割を加味した税金負担率をグラフ化してみました。
※均等割は70,000円とした場合。

これまた見づらくなりましたが…

例えば税前利益100万円の場合、法人税等は28万円で、
そのうち均等割は7万円ですから、7%分の差が出ています。
以降、徐々にその影響は弱まって間隔が狭まっていくものの、
税前利益800万円までは、均等割が一定の割合を占めていることがわかります。

この青の税率でみて、平均を取れ、と言われれば、
30%も無くはないかな、といったところですかね…!

なお、資本金額や従業員数によっては、上記グラフよりも税負担はもっと大きくなります。
以前お客さんで、均等割のみで100万円近くいっていた会社もありました。

とはいえ、さすがに単一の税率で全てを計算するのは、
やや乱暴なシミュレーションと言えるでしょう。
私も反省します…!

資本金額による違いは押さえるべきですし、
利益についても、たとえば、
多くても1,000万程度までなのか、
あるいは億単位まであり得るのかによって使い分けた方が望ましいと考えられます。

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