ブログ

完全無料のクラウド会計ソフト「円簿青色申告」を仙台の会計士がレビュー

青色申告特別控除を受けるには、複式簿記が必要ですが、
会計ソフト代を払いたくない(せっかくの控除の恩恵が減る)
という方も多いのではないでしょうか。

完全無料で青色申告用の決算書を作成でき、
かつクラウド型=インストール不要&マシンを選ばない
会計ソフト「円簿会計」があります。
会計士・税理士の目線でレビューしました。

※iPhone7にて撮影

 

見極めれば悪くない使い勝手

完全無料といっても、

「安かろう悪かろう」
「タダより高いものはない」

という言われ方をしますが、
数時間ほど触れてみた感想としては、悪くない印象です。

もちろん、使いにくい点、分かりにくい点はあります。

しかし、
・他の会計ソフトも使いにくく、イライラポイントが多いものがほとんど
・むしろ巷の会計ソフトより工夫が感じられる点もある
・なにより完全無料
であることを思えば、
お客さんや知り合いにオススメしてもいいかな、と思える水準です。

ただし、
「減価償却費の計算ができない」は致命的です。

・固定資産が無い
・確定申告作成コーナー等で補完できる
ことは最低限の条件になります。

 

意外と動作は軽快

登録はなぜかYahoo IDが必要ですが、
初期設定も最低限で、すぐに入力に移れます。

こちらは入力メニューですが、非常にスッキリしていて、
分かりやすいです。

クラウド型会計ソフトの難点として、
「動作がモッサリしている」という点がよく指摘されますが、
そんなこともなく、意外と軽快です。
(確定申告時期はわかりませんが…)

 

日々の入力は正直つらい

日々の会計入力としては、
・複合仕訳入力
・元帳入力
・通帳入力
と3パターンも用意されています。
オススメは、ありません笑。

「元帳入力」は、入力するハコが多すぎて、ちょっと気持ちが萎えます。

 

その点、「通帳入力」は工夫が感じられるので、マシかなぁと。
こちらは、一行=一仕訳で、最低限の項目さえ入力すればいいというもの。

日付→摘要→科目→金額と入力していけば、一仕訳完成です。

ただ、使うと分かりますが、
科目の設定にやや工程が多いのが難点です。

「科目」ボタンを押すと、こういった画面が表れます。

科目のプルダウンリストを押すと…

科目のリストが出るので、該当の科目を探します。
毎回これをやらねばならないので、入力のスピード感が出ません。

この他、
・入力画面が1ヶ月ごと
・「一覧表示」を押さないと、入力済みの仕訳が表示されない
というのも、気になりますが、
おそらく、動作を軽くための工夫でしょう。

 

救いは、CSVデータの取込機能があること。
私だったら、これを使います。

Excelで出入金や摘要のリストを作れば、
一括して取り込むことができます。

そして、なんと素晴らしいことに、弥生会計の形式に準拠しています。

ネット上にノウハウが転がっているので、
比較的対応しやすいです。
(具体的な取込方法は、気が向いたら記事にします!)

 

集計機能は試算表のみ

出力関係はこの通りです。

推移表が無いのはやや残念ですが、
申告のためと割り切れば、問題ないかと。

他の会計ソフトでも、
やたらと出力項目があっても、ほぼ使いませんしね。

どうしても数字の分析がしたいのであれば、
仕訳データのCSV出力機能があるので、
加工してやればできないことはないです。

 

減価償却費は計算してくれない

減価償却費の自動計算機能はありません。
ここが非常に残念なポイント。

副業で不動産投資をやっているサラリーマンオーナーさんなどにも
円簿青色申告を使って自分で確定申告するのをオススメしたいのですが、
不動産賃貸業は減価償却費の計算が必須ですから、
ここがネックになってしまいます。

一応、青色申告決算書の入力するハコはありますが…

 

減価償却費の計算が必要という方は、
国税庁の確定申告作成コーナーを利用しましょう。

信頼性も高いですし、
案内が充実していて、使いやすいです。
もちろん無料です。
(こちらも気が向いたら、記事にしようかと思ってます。)

 

申告書は確定申告コーナーで

確定申告書の作成もできますが、
こちらは使わない方がいいでしょう。

こちらも入力するハコが用意されているだけで、数字の連動はありません。

全員一律の基礎控除38万円の入力すらありません。

漏れ、重複、不整合の危険があり、
税理士の私でも使うのが怖いです。

 

決算書までは円簿青色申告で作ったとしても、
最後の仕上げ、確定申告書の作成は
必ず国税庁の確定申告作成コーナーでやりましょう。

 

使ってもいいのはどんな人?

では、上記をふまえて、
どんな人であれば、円簿青色申告を使ってもいいでしょうか?

 

コツコツ入力するのがおっくうでない人

入力はどうしても難儀してしまいます。

クラウド会計といっても、
インターネットバンキングなどとの自動連携機能はありません。
(楽天銀行の法人口座はできるようになりましたが、
法人なので確定申告は不可)

どうしてもというなら、Excelを使ったデータ取込がオススメです。
難易度が上がりますが、
一旦仕組みを作ってしまえば、後は早いです。

 

会計分析いらない、申告できればいい人

推移表がなく、
月次での数字の分析や、
一つの項目を掘り下げて見る、がしづらいので、
割り切って、申告のための決算書が作れればいい人向きです。

 

国税庁の確定申告作成コーナーを使ってもいい人

減価償却費の自動計算ができませんし、
確定申告書の作成は不安が残ります。

したがって、円簿青色申告は数字をまとめるために使い、
決算書や申告書の作成は、
国税庁の確定申告書作成コーナーを使うことになるでしょう。
(もしくは、ここだけを税理士さんにお願いするのもアリ。)

ただ、確定申告書作成コーナーも相当に作り込まれています。
複雑なものでなければ、
がんばってやれば自己完結できるはずです。

 

消費税免税事業者の人

消費税コードの入力までやると、かなり大変です。
チェックも難易度が高く、修正もしづらいです。

したがって、免税事業者の人か、
せいぜい簡易課税まででしょう。
(つまり、年間売上5,000万円以内の規模まで)

 

万が一データが飛んでしまってもいいと腹を括れる人

たぶん大丈夫だと思いますが…
いつ閲覧不可になるかは分かりません。

無料ですから、突然見れなくなっても、文句は言えません。
有料化する可能性もなくはないでしょうし。

そこを割り切れる人は使ってもいいでしょう。

 


編集後記

高校野球の金足農業、残念でした。
東北勢、また準優勝どまり…無念です。

自分の世代だと、
東北高校のダルビッシュが私の一学年下。
「これでダメならしばらくダメだろう」とまで言われて、
当時も準優勝で涙。
あれから15年ですか…年取ったな、自分(笑)。

昨日の一日一新

タイムロガー(iPhoneアプリ)
時めも(iPhoneアプリ)
時間記録メモ(iPhoneアプリ)
※一日一新とは→こちら

PAGE TOP