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【図解】知っておきたい合同会社の落とし穴

合同会社は設立費用の安さが最大のメリットである一方、
長期的に生じうる、とあるデメリットを把握しておくことが望まれますが、
このことに対する詳しい言及が、
ネットや書籍見渡しても、あまり見られません。

そこで今回、図解を用いて解説しました。

合同会社のメリット・デメリット

一般の方が、会社を設立して起業したい、
個人の事業を会社に移したい、といったときに、
たいてい、株式会社にするか、合同会社にするか、
の選択を迫られます。

合同会社?なにそれ??結局何がどう違うの?
というところでしょう。

 

合同会社最大のメリット:設立費用が安い

合同会社のメリットは、なんといっても、設立費用の安さ。
これに尽きます。

設立方法等にもよりますが、14万円ほど、合同会社の方が安価に済みます

こちらで詳細な設立費用の比較をしています。

会社設立は自分でやろう。会社設立freeeのメリット3つと注意点

会社を設立する動機として「節税になる」という方も多いはず。
であれば、なおさら、この違いは敏感になります。

私も、合同会社を所有しています。

 

合同会社のデメリットは??

一方、合同会社のデメリットですが、
「合同会社の方が信用度が低い」というものがよく挙げられます。

これは、「合同会社」という会社形態に対する知名度が低い、という意味です。
簡単にいうと、
取引や求人の際に「合同会社?は?なにそれ?」と言われるリスクですね。

ですが、ここはその影響がどれほどかを図るのは難しいですし、
業種にもよるんでしょうが、
合同会社でも、つくってみるとなんでもなかったりはします。

「投資法人」「特定目的会社」
「合名会社」「合資会社」
「有限責任事業組合」「匿名組合」

おかしな組織名称は他にもあります。

私自身、この種のデメリットとしては
・「合同会社ってなに?」とよく聞かれるので、ちょっと面倒くさい
・銀行口座開設の際に、行員さんが合同会社を理解してなくて、
後日、書類の訂正を求められた

くらいですかね。
そのくらいですと、設立費用14万円のメリットの方が勝ちますよね。

したがって、ここでの評価は難しいところ。

 

社員同士で揉めると大変?

それ以上に、気にしておいた方がいいデメリットが、
「社員同士で意見が対立すると、意思決定が進まなくなる」
というもの。

従業員のケンカ??ではありません。

ただ、こちらをひとことで説明するのは難しいので、
以下、図解をつかってお伝えしたいと思います。

 

株式会社と合同会社の根本的な違い

「社員同士で揉めると大変」というのは、
株式会社と合同会社の根本的な違いに関わってきます。

何がどう違うのでしょうか?

 

前提:社員=合同会社の所有者のこと

その前に、まず、話の前提として、
「社員」ってなに?ってことですが、
これは、合同会社の所有者(オーナー)のことです。

会社を作るに当たって、お金を出した人。
出資者ともいいますね。

これが株式会社になると、「株主」に名前が変わります。

今のところは、

「どちらも会社の所有者のこと」
「名前が違うだけ」

とご理解ください。

 

違い①:一株一票か、一人一票か

で、株式会社合同会社の違いですが、
まず、会社の重要なことがらを決める際に、
一株一票か、一人一票か、という違いがあります。

株式会社は一株一票です。
資本多数決、と言ったりします。

株式数=出資金額を表しますから、
金を出してるやつほど、発言権がでかくなる、というわけです。

こちらの例でいえば、
株主aは150株中100株、つまり2/3を握っています。
2/3以上握っていれば、
会社のほとんどのことを一人で決められますから、
この会社は事実上、株主aが支配している会社です。

 

一方で合同会社は、一人一票です。
頭数多数決、といったりします。

株式会社と違って、いくら金を出しても、一人一票しかもらえません。

こちらの例では、所有者である社員aは、100万円出しています。
一方、社員bと社員cは、その半分も出していません。

ですが、発言権は全員同じなのです。

そのため、たとえば、社員aが「新しいことをやろうよ!」、
と言っても、社員bと社員cが「ダメ!」と言ったらダメなのです。

これはいかにもケンカになりそうですねぇ。

 

違い②:所有者と経営者が違う人か、同じ人か

もうひとつの違いは、所有者と経営者が違う人か、同じ人か、です。

株式会社は、所有者と経営者が、違う人、です。

株式会社は、金持ちのお年寄りが、
志のある若い人に、
「この金で、世の中を変えてくれ!」
といって、ぽんとお金を渡す、そんなイメージ。

上場会社でも、株式が株式市場で売買されておりますが、
あれは「所有者」の立場を売り買いしているんですね。
ただ、「経営者」ではないので、会社の経営に直接関与はできません。

なお、「所有者」と「経営者」が違う人、というのは、理論上の話です。
実際には、だいたいの中小企業は、所有者=経営者です。
違う人がやってもいいんだよ
ということでご理解いただければ。

一方、合同会社は、スポンサーとプレイヤーは同一人物です。

こちらの方が分かりやすいですかね。
まぁ同じことです。

仲良しグループで集まって、
「みんなで面白いことやろうよ!」
といって自分の財産を持ち寄って、
それで事業を興す、みたいなイメージですね。

非常にシンプル。
一般の方には、合同会社の方がしっくりくるでしょう。

 

合同会社にデメリットが出るケース

さて、以上のような違いを踏まえて、
合同会社であればこそ問題が生じるケースを挙げてみます。

 

家族に役員報酬を払いたいケース

会社経営を家族に手伝ってもらっている場合、
役員報酬を支払うことができます。

実質的に会社で稼いだお金を家族に分配することができますし、
所得を分散することによる節税効果も得られます。

これを株式会社で行う場合、
こういった形が考えられます。

経営は、父、母、子の三者で行う。
これにより、役員報酬を三者に支払うことができます。

一方で、出資者は父。
所有権をすべて握ることで、
会社の大きな決定をコントロールできます。

あるいは、すべては握らなくとも、
2/3以上または50%超の割合で株式数を持っておけば、
会社の大きな決定権をキープしつつ、
相続対策も見据えて財産を分散できるので、安心です。

 

しかしながら、これが合同会社の場合、
こんな感じになってしまいます。

社員=出資者兼経営者ですから、
役員報酬を支払うためには、
出資者・経営者いずれもの立場を渡さないといけません。

そうすると、親子が仲良しなうちはいいですが、
万が一、お父さんがお母さんとケンカしちゃって、
子供がお母さん側についちゃったら、
お父さんはさぁたいへんです。

合同会社は一人一票なので、
どれだけお金を出していても、
どれだけ会社に貢献していても、
1/3の発言力しかないのです。

冒頭でご紹介した、
「社員同士で意見が対立すると、意思決定が進まなくなる」
という合同会社のデメリットは、
こういったケースで顕在化してくるのです。

合同会社→株式会社への鞍替えは可能

この例のように、
①一人一票
②所有者と経営者が同じ人
という特性ゆえに、
合同会社は不自由をするケースがあります。

しかし、このようなデメリットが実際に問題として出てくるのは、
かなり先の話です。
長期的にはどうなるか分からない、というのであれば、
いったん合同会社を設立し、
状況に応じて株式会社に組織変更することも可能です。

また、合同会社のままでも、
会社のルールである定款を変更しておくことで、
予め対策を打つことが可能となる場合もあります。

ただ、そうだとしても、
対策を打つタイミングは
あらかじめ頭に入れて置かなければなりませんね。

 


編集後記

昨日は、猛暑の中、実家の犬と散歩。

よほど暑かったのか、
帰ってきたら、水をガブ飲み、
ヘッヘッヘッ、と舌を出し続け、
ひたすら熱を発散してました。

ごめんね。。。

昨日の一日一新

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