前払費用は「ほぼ現金」前受収益は「現金だけど現金じゃないもの」:仙台の税理士が図解

貸借対照表上、
前払費用は資産計上、前受収益は負債計上されますが、
これらは、持っている財産の補正項目です。

前払費用はプラス補正であり、
「現金・現金は無いけど、あるものと考えていいよ」と捉えます。

前受収益はマイナス補正であり、
「現金・現金はあるけど、無いものと考えてね」と捉えます。

これを言い換えれば、
前払費用=ほぼ現金
前受収益=現金だけど現金じゃないもの
と表現できます。

 

※iPhone7にて

 

前払費用=資産??

前払費用とは、
継続的にサービスの提供を受ける場合に、
いまだ提供されていないサービスに対し、支払われた対価のことです。

 

典型的には、保険料の年払いです。

保険は「契約している間、万が一のときに保障をしてくれる」
というサービスを提供してくれます。

年払いすると、その後一年間保障してくれる、
という形態が一般的ですが、
お金を払ったらハイ終わり、ではなく、
一年間なら一年間に渡って、
継続的にサービスを受けることができます。

 

年払いした保険料は、前払費用に計上するのが通常です。

資産とは、
・お金そのもの
・お金と同等の価値があるもの
を計上するところです。

前払費用は
・お金を払ってしまっている
・払ったお金は通常戻ってこない
ですから、
「お金と同等の価値がある」といわれても、
いまいちピンと来ないのもうなづけるところです。

 

前払費用は、ほぼ現金である

しかし、会計士・税理士的には、前払費用はやはり資産です。

あえて攻めた表現をするならば、
前払費用=「ほぼ現金」と考えてもらうと、シンプルです。

 

 

例えば、同じ保険契約で、
・月ごと払い
・年ごと払い
で処理がどのように変わるかをみてみます。

月ごと払いは、支払いは少しずつ。
サービスを受けるのも少しずつですから、支払=費用となります。

一方、年ごと払いでは、支払いは一度に行いますが、
サービスを受けるのは少しずつ。したがって、支払=費用にはなりません。

 

ここで、数値例の2月を貸借対照表に表すと、以下の通りになります。

依然として、前払費用100がどういうことを示しているか、
ピンと来ないかもしれません。

では、月ごと払いと年ごと払いで、
貸借対照表にどのような違いがあるでしょうか?

月ごと払いでは、現金・現金が500ある、という事実のみです。
ここはふつう。

一方の、年ごと払い。
現金・現金は400と、月ごと払いより100少ないです。
しかし、100少ないのは、保険料を早めに払った結果であって、
その後受けられるサービスに違いはありません。

つまり、
「お金は400しか無いけど、
そのうち100はまだ払わなくてもいいものを払ったものだよ」
=「実質的には500だよ」
というのが年ごと払いの貸借対照表の意味になります。

そして前払費用100は、
「現金現金は無いけど、あると同じように考えてもらっていいよ」
=「ほぼ現金だよ」

ということです。

このように、前払費用は
現金現金の残高をプラス補正するものであり、
前払費用=ほぼ現金、と捉えることでシンプルに理解することができます。

 

前受収益は、現金だけど現金じゃないもの

前受収益はその逆で、
現金・現金のマイナス補正の項目です。

例えば、オフィスビルのオーナーさんが、
テナントさんの賃料1年分を一度にもらうとします。

この場合、以下のような処理となります。

お金自体は1月に1年分が入ってきます。
しかし、収益(売上)は、あくまで発生したものだけを計上します。
したがって、1か月分ごと、少しずつ計上していくことになります。

この場合、2月の貸借対照表は以下の通りになります。

この貸借対照表をどう見るかというと、
先ほどの前払費用と反対に考えます。

つまり、
「お金は500あるけど、
そのうち100はまだ自分のものじゃないよ」
=「実質的には400だよ」
という意味になります。

ここでの前受収益100は、
「現金現金はあるけど、無いと同じように考えてね」
=「現金だけど、現金じゃないよ」

ということ。

このように、前受収益は
現金現金の残高をマイナス補正するものであり、
前受収益=現金だけど、現金じゃないもの、
と捉えることでシンプルに理解することができます。

 

とはいえ、現金現金そのものではない

ただし、です。

前払費用=「ほぼ現金」
とは言ったものの、
現金そのものではありません。

むしろ、お金を払ってしまっており、
解約などをしない限りは戻ってきません。

一方、前受収益=「現金だけど現金じゃないもの」
とは言いつつも、
現金として受け取ってはいます。

解約などをされない限りは返金の必要は無く、
自分のお金として自由に使うことができます。

 

このように、現金現金残高の補正項目であり、
同じように考えていいけど、ちょっと違う、
との認識ができると、より深く貸借対照表の数字を理解できます。

 


編集後記

お盆ですが、平日は絶賛営業中です!
街中は電車も車も空いてて、快適ですね。

ただ、
「周りは休み」と思っていると
ヘンな焦りが無く、余裕をもって仕事ができる、
というのは、
サラリーマン時代に休日出勤してたころのクソ根性だなぁ。

昨日の一日一新

伊豆沼はすまつり
東北障がい者芸術公募展
※一日一新とは→こちら

 

飯塚 千隼

仙台初のWordPressブロガー税理士・公認会計士。
クラウド会計・Excel・ITを駆使して経理効率化。
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